Super Moon

修学旅行の帰りの電車の中。

 

他クラスが近くにいて、見たことない人がいるなーと思って初めて会話をした時。

“あれ、この人知ってる。懐かしい感じ…”と思った。

本能だか直感だかわからないけど。

 

 

顔は私の好きなタイプの可愛い系じゃないんだけど

醸し出す空気感、声の質、会話の波長、全てに安心感を抱いた。

警戒心がわりと強い方だけど、“この人は大丈夫”と知っていた、という感じ。

この感覚になったのは、この【もち】しかいない。

 

 

 

初会話した後からは、廊下で会うと話したり、主に私が驚かせたりとちょっかいを出してた。

 

もちは、普段のほほんとしていて、動じないし、もちの周りだけ穏やかな時間が流れているかのような感じ。

基本省エネで、口調もゆっくりだ。

でもスポーツ万能で、運動になると機敏な動きを見せるのが、ギャップというよりむしろ、いつもあんななのに不思議ー、という感じだった。(私はスポーツしてる姿ではときめかない)

 

私は、関わる必要性があった時に、関わった男子の中で仲良くなった男子としか話せないタイプで(ややこしい表現)

もちの友達からは、え、いつの間にそんな仲良くなったの?と思われていたらしい。

周りもびっくりするくらい、Maxスピードで距離が近くなっていった。

 

なんやかんやあって両想いとわかり(そこの過程はあんま覚えてない笑)

小学生なりにも付き合うってなって数日後。

 

 

昼休みに友達が

「男子達がバスケの試合で、勝ったらさやかはずっともちのもの、負けたら譲るって賭けしてる!」

と知らせにきた。

 

 

それを聞いて瞬時に私が思ったこと

 

“譲るってなんだよ。私は物じゃねーんだぞ。”

はい、可愛くないですね。

 

 

ちゃんと心の奥まで探れば、“私を手放すつもりなの??”という想いがあったのかもしれない。

だけどこの時私が認識したのは、怒りの方だった。

もちは、学年の中でもバスケがうまかったから、勝てる自信があったのかもしれない。

長い付き合いした今考えれば、もちの独占欲ゆえだったのかもしれない。

 

 

試合に勝って男子達が

“賭けはもちが勝ったぞー!”って騒いでるのは聞こえた。

でも、もちが友達といる前で私は

「私は賭け事の商品なんかじゃない!もちなんか、大嫌い!」

と言ってしまった。

 

友達から聞いた話で、成り行きとか、本人から聞いたわけじゃなかったのに、私の感情だけ押しつけた。

しかも、もちの友達の前で。

ひどいことしてるわ…

 

 

 

帰りに、もちが泣いてる、と男子達に呼ばれた。

ちらっと遠目で見えてしまった、もちの泣く姿。

 

初めて男子を泣かせてしまって、内心かなり動揺。

 

だけど意地っ張りな私はもう引き返せなくて

「もちのばーか!!!」

と叫んで帰った。

 

…え、追い討ちとか性格悪すぎるだろ(涙)

 

 

 

 

そんなことがあって、急速に仲良くなったのに、いろんな人に知られながらのスピード破局

 

 

もちとの関係は、ここで一度途切れる。

 

中学に入ってまた、絡むようになるのだけど

この時はまだ、あと何年もずるずる続くとは、思ってもみなかった。