Moon N

中学2年の頃、急激に仲良くなった。

きっかけは『ちゅらさん』だった。

私が朝ドラのちゅらさんにハマって、その時ちょうど席が隣だったNにちゅらさんの話をしたら、Nも見始めてくれて。そこから。

 

Nは小学6年生の頃に転校してきて、背が高いことと、なんとなく色気のある雰囲気と、大人っぽい性格から、女子から人気が出た。

でも女子から人気のある男子はことごとく興味がもてない私は、まさかNとものすごく仲良くなるとは思わなかった。

 

確かに初めは大人っぽさを感じることもあったけど、慣れてくるとNがめちゃめちゃいじってくるから、応戦しあったりして大人っぽくは無かった…かな?笑

雰囲気が色気あると言われてたのは、気だるそうだからだったと思う笑

あと、首が長くて小顔だから、首筋ラインが綺麗だったからじゃないかと推測している。

 

 

席が隣だからノート端で書いて会話したり

どこかで見かければちょっかい出し合ったり

お互い名前呼び捨てだったり

夏祭りも二人で行くか!ってノリでなって、実際二人で行ったし

Nが料理得意で、『さやかはあれでしょ?お米洗ってって言われたら洗剤で洗っちゃうでしょ?』とか言われて(その頃は本当に手伝いしてなかったからやりかねなかったが笑)

そこまで言うなら手作り食べさせてくれってなって、Nの家に行って食べたこともある。(すまんが味は忘れた)

 

じゃれあえる兄弟のような、居心地の良い相棒のようで

その実、私はその関係が変わってしまうことを恐れていた。

 

 

一気に関係が変わったのは、メールで珍しく恋愛ネタになった時。

 

N『好きな人いる?』

私『今は特にいないかな〜Nは?』

N『今メールしてる人』

 

ん?と思ったけれど、その日は携帯使用時間オーバーで返事できなかった。

 

 

次の日学校で、Nが私のノートの端に

『昨日の続きだけど、さやかのことだよ。』

と書いた。

横を見ると、じっと私を見るNがいて

いつもの視線と違う温度を感じとって、胸がなんか…切なかった。

自分がどうしたいのか、正直わからなかった。

 

 

ちょうど同じ日に

その頃一緒によく行動してたmちゃんが『私、Nのこと好きなんだ。協力してくれる?』と言ってきたこと。

嘘だろおいーーーー

今?このタイミングでー?

とちょっと泣きそうになった。

 

 

さらに席替えもあって、Nとは席が離れることに。

内心、これで良かったかも、と思った。(最低)

 

 

 

その後も私は返事をしていないのだけど

Nは今まで通り接してくれて

でもmちゃんの気持ちを考えると、あんまり仲良くしちゃいけないような気もして

少しだけ距離をとるような応対をしてた。

Nからしたら、自分が告ったせいだ、とか思ってたかもしれない。

そう考えると、そう思わせてしまったことが悲しい。

Nからメールで『最近冷たくない?』って送られてきたこともある。

本当はすごく寂しかったけど、初めての三角関係(?)に、どうしたらいいのかわからなかった。

 

 

 

学校が休みの日。あの日は雨の日だった。

『郵便受け見て』とメールがきた。

すぐに郵便受けを見に行ったら、遠くの方にチャリに乗ったNが見えた。

郵便受けには手紙が入ってて

『オレさ、さやかのこと、本気で好きだよ。返事もらえるまで待つから。』と。

 

 

もし、これで告白を断ってしまったら、私達の関係はどうなってしまうんだろう。

Nのこと、大好きなのに

Nと過ごす時間は楽しいし居心地がいいのに

でも、恋愛としては違う気がする…

Nを傷つけることはしたくないのに…

でもmちゃんのこともあるし…

と、随分悩んだ。

 

ハッキリ言って、その頃の私は、真の優しさを持ってなかった。

Nの期待に添えないことで根本的に嫌われるのが怖く、なのに誠実で正直でいることもできず、きちんと傷つける勇気がなかった。

 

 

その頃噂でTくんと私が付き合ってる(田舎の学校なので噂がすぐまわる&テキトーな噂もまわる)というのがまわり

Nもその噂を聞いたようで、自然と距離をおく形にしてしまった。

 

失いたくなかった関係なはずなのに、失ってしまった。

 

この時の経験は、『もち』との関係性にもなんらかの影響を及ぼしたと、今になって思う。

それはまた今度。

 

 

 

 

その後。

Nとは話さないまま中学卒業し、高校入学後に一度だけ友達数人で会ったことがある。

 

たまたま二人きりになった時、久しぶりに世間話程度だけど話ができた。

でも

『俺はもう、さやかのこと友達ともなんとも思ってない。』

と最後に言われた。 

 

それはそうだろう。

誠実に対応しなかった自分への、当然の報いだ。

 

そしてまた

そうやって、好意もそうでない気持ちも

ストレートに正直に伝えてくれるNの誠実さは、仲良かった頃から変わらず好きなところであり、私には痛くてもありがたかった。

 

 

もう伝えられないのだけど。

この場をかりて、ありがとう。