うーん………
なんか、新しい物語って感覚だった。
3人の中で、誰とも自分は違うな、とも思うし
いや、こういうところは似てるのかもしれない、とも思うし
不思議な感じだった。
ストーリー自体は3人それぞれの視点で描かれててサクサク読んでしまった。
伊東くんの、なんだか頼りない感じというか、おいおい、どうするんだい?と、読んでてハラハラする感じ
実際にいたら、私は無理なタイプだと思う。
無自覚で人を利用してるように思えてしまうし、自分にとって得になるから一緒にいるっていうこと自体が嫌だし、“恋人”に対して求めているものや見ているものも、薄っぺらいような感じがする。
そして、高村さんのように料理が得意なわけでもないし、お世話をするタイプでもないから、高村さんの行動に対しては共感がいまいちできない…
同じ立場だったら、私は絶対虚しくなる。
その虚しさを、高村さんが理性と論理性で気づかないようにしてる、そんな風に私には読めてしまって、そこから浮かび上がる儚さが、なんだか心苦しい。
華さんのように、自分の興味や好きなことがバシッと決まっているタイプでもないし、感情的に怒れるところも違う。
もしも私が伊東くんの立場だったら、自分の興味にまっすぐなのはいいけども、そんなぞんざいに扱われたら離れていっても仕方ないだろ、と思うし、自分に非はまったくないのか、とか言いそう。
私がこの3人のような関係性になったら、まず、“めんどくさっ”が勝つ。
そもそも恋人でもない異性に一緒に住む提案をしないし、それを受け入れもしないし
この関係性変だなと思ったら、言葉にするし、話し合う方向に持っていく。
今なら、ね。
宙ぶらりんでもいいや、と思いながら付き合ってた過去もあるし
自分が傷つくのがこわくて、わざと距離をとってた過去もあるし
恋じゃない、と理性で心を手なづける必要があるほど“大切”なくせに、手放せなかった過去があるからこそ、わかること。
3人とも、みんなズルい。
だけど
伊東くんの寂しさもわかるし、それを埋めてくれるあたたかさを求めてしまう弱さや
高村さんの人との距離感の取り方とか、自己防衛の仕方とか
華さんの日常生活では女であることを煩わしく思ったり、女である部分に安心したり、女としての能力に不安を持ってたりする部分も
わかるんだよなぁ………
食べ物の描写はとても美味しそうだったし、塩おにぎりや天麩羅など、食べたーいと思う料理も多かった。
お酒やおつまみ、海鮮系はいけない口なので、わからないところも多かったけど。
食の好みは違っても、一緒には住めるし、好きにもなれる。
私は実際そうだし、多分そこに対して比重が大きくないんだと思う。
だけど、美味しいね、と言える相手がいるあたたかさは、やっぱり生きていく上で大切な瞬間だと思う。
不器用で、傷つくのがこわくて、不完全で、とても人間くさく
そういうところあるよね~…なんて自分を顧みれるお話でした。
なんとなく読んでて
実写化するなら、高村さんは黒木華さん
伊東くんは磯村勇斗さん
って感じがした(笑)
華さんは誰だろう?
また次読んだ時には、違う視点で見えるかもしれないし、楽しみ❀